診療報酬改定による影響
2024年度の診療報酬改定によって、老人ホームを主としていた訪問診療は大打撃を受けています。また、訪問看護は、リハビリの大幅な減算で大きな大打撃となっています。在宅医療は、いずれにしても効率の良さが減算対象となり、医療度、介護度が低い患者や利用者に対しても劇的に報酬が低くなった改定となりました。
今回の改定で、訪問診療を提供する医療機関は、収益性・事業モデルの見直しを余儀なくされることでしょうし、当院も見直しを始めている状況です。訪問看護ステーションの方もケアマネには申し訳ないのですが、介護予防に関するリハビリは最大12カ月以上は受けない方向で調整します。需要はあるのですが、減算になるということで、昨年から内部協議していました。結論的には、NGと致します。
診療報酬改定は、大きな変化となり医療の転職市場にも影響を及ぼします。訪問診療に特化して、老人ホームを主としていた医療機関は、医師や看護師などの需要を減らし、人件費を最大限引き下げていくことになるでしょう。また、リハビリが中心だった訪問看護ステーションは、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士の業務を改めて、人材も看護師を主とする方向で、大きく見直してくると思います。リハビリ中心の訪問看護ステーションは、大きな変革期だと思います。
いずれにしても在宅医療に大きなメスが入りましたので、転職市場も混乱していくと想定されます。高齢化の割合は、今後益々高くなっていくので、今回の改定で在宅医療の普及に妨げにならなければ良いと考えています。
在宅医療の医療人材は減っていくのか?
上記で書いたように、今回の改定により在宅医療を専門に扱うクリニックやリハビリを主に行い収益を得ていた訪問看護ステーションは、大きく変革していく必要性に迫られました。
日本はこれから今以上に超高齢化に向かっており、在宅医療の需要が減ることはありません。医療機関なども高齢化に関しては百も承知していながらも、診療の提供スタイルを模索していくものと考えます。
点数が減ったからといっても、高齢者を簡単に見捨てるようなことは、一般常識的な医療機関には出来ないと思います。我々もそんな理不尽なことは想像すらしていません。需要があるのであれば、やり方だけの問題だと考えています。収益が減っても、それはそれで致し方ないことだと考えています。
出て行くもの=支出 は抑えていかなければ、経営も本末転倒になりますので、慎重に経営状態を見ながら運営していくつもりではいます。24時間体制で、患者や介護者との連携を保ちつつ、今までも医療、看護、リハビリを提供してきました。医療に関するスタンスは変えることは全く考えていません。確かに同一建物内の診療は、効率の良さは目につきますが、一般在宅よりも頻繁なオンコールという事実もあります。効率の良さだけ目についてしまったのでしょう。
また、訪問診療医の給料は、相場も比較的高く設定されています。理由としては、在宅医療を志す医療人材が、医療者全体の5%以下と紹介会社からお聞きし、今も地域差があっても訪問医療を志す医師は、医師全体の5%以下と聞いています。点数が下がり、給料相場を低くすれば、今以上に志す医師は減る事になります。これは、看護師も同様であり運営者側の懸念材料でもあります。
医療従事者もボランティアで医療や看護、リハビリを提供しているわけではありません。あくまでもビジネスとして対価を提供しているわけです。稼げない業界からは、少しずつ撤退はあり得ます。きっと当面は、在宅医療の人気が若干衰退していくことと思います。この点は悪循環に感じています。
僕自身は、家族と公団暮らしなのですが、棟のほとんどが高齢者であり、一人暮らしか、老老介護の二人暮らしです。同一建物の契約数で報酬が変わるとなると、自分の住んでいる棟にいる高齢者も医療機関を探すことが大変になるのでしょうね。
今後、医療機関側が確実に診療の契約をする人数を規制してきますので、簡単に在宅医療を受ける事が困難になってくると思われます。
我々は、今まで提供していた医療もスタンスも変えることは考えていません。今アまで通り、しっかり診療して、日常的な急変や入院を少なくする努力をしていきます。
しかhし、多くの医療機関、訪問看護ステーションは、存続問題にもなっているようです。今までとは同じ運営方法とまではいかないようです。在宅医療が日常的になりつつ状況で、医療機関の減少は本当に心配です。
現場はどう考えているのか?
在宅医療の訪問診療医や看護師とも日常的にお話ししていますが、スタイルを変える事はしないようにしようと思っています。最終的に患者に影響が出るのではないか、ということを皆心配しています。
確かに収入は半減しますが、その半減をどう補うかを真剣に考えるようにしています。
ICTやDXの導入で得られる加算は、若干ですが増えたりはしています。加算を取れるものは取って、後は、さてどうしましょう?という状況で止まっています。
地域のネットワークもある状況ですので、周りの医療機関にも聞きながら、前向きに運営していきたいと思っています。
ただ、先ほどもお話ししましたが、需要は伸び続けます。だからこそ、今までと違った方法を取り入れながら、新たな体制を作っていきたいと考えています。
訪問診療、訪問看護などは、高齢化社会が必要とする必要不可欠な医療です。これからも需要は伸び続けますので、是非、志ある方は挑戦してみてください。お待ちしております。