回復期リハビリテーション病棟は、急性期とは全く異なる性質を持った病棟です。厚生労働省が定めた疾患など入院出来る条件は限られています。入院条件が制限されている一方で、入院期間は、脳血管疾患であれば最大180日、運動器疾患であれば最大90日となります。積極的にリハビリテーションを行い身体機能の改善を目指します。在宅復帰率も病棟を維持する条件となり、平均70%以上が求められる病棟となります。
施設基準を以下に示します。
1. 回復期リハビリテーション病棟の目的
回復期リハビリテーション病棟の主な目的は、患者が最大限の機能回復を遂げ、可能な限り自立した生活を送れるようにすることです。ADL回復を最優先に、1日3時間程度のリハビリを行い、身体的、精神的、社会的な側面で自立を促します。回復期ですので、療養生活の大半をリハビリを意識したプログラムとなっています。
2. 対象疾患と入院期間
対象疾患 | 入院期間 |
---|---|
脳血管疾患、脊髄損傷、頭部外傷、くも膜下出血のシャント手術後、脳腫瘍、脳炎、急性脳症、脊髄炎、多発性神経炎、多発性硬化症、腕神経叢損傷等の発症又は手術後、義肢装具訓練を要する状態 | 150日 |
高次脳機能障害を伴った重症脳血管障害、重度の頸髄損傷及び頭部外傷を含む多部位外傷 | 180日 |
大腿骨、骨盤、脊椎、股関節若しくは膝関節の骨折または2肢以上の多発骨折の発症後または手術後の状態 | 90日 |
外科手術後または肺炎などの治療時の安静により廃用症候群を有しており、手術後または発症後の状態 | 90日 |
大腿骨、骨盤、脊椎、股関節または膝関節の神経、筋または靱帯損傷後の状態 | 60日 |
股関節または膝関節の置換術後の状態 | 90日 |
急性心筋梗塞、狭心症発作その他急性発症した心大血管疾患または手術後の状態 | 90日 |
3. 提供されるケアとサービス
リハビリテーションプログラム
リハビリテーション病棟では、個々の患者に合わせたリハビリテーションプログラムが提供されます。最初は院内でリハビリしながら、少しずつ在宅復帰を意識したリハビリプログラムが組まれていきます。日常生活を取り戻すリハビリテーションプログラムとなっています。
- 理学療法 (PT):運動機能の回復を目指す訓練。歩行訓練やバランス訓練など。
- 作業療法 (OT):日常生活動作 (ADL) の回復を目指す訓練。食事や入浴、着替えなどの動作訓練。
- 言語療法 (ST):言語機能や嚥下機能の回復を目指す訓練。言葉のリハビリや飲み込みの訓練。
患者教育と家族支援
患者やその家族に対して、リハビリテーションの目的や方法、退院後の生活に関する教育を行います。家族が患者のケアに関わるための技術や知識を提供することも重要です。
多職種連携
医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、ソーシャルワーカー、栄養士、薬剤師、介護福祉士など、多職種が協力して患者のリハビリテーションを支援します。これにより、包括的で統一されたケアが提供されます。
精神的サポート
長期のリハビリテーションは精神的にも負担がかかるため、患者のメンタルヘルスをサポートすることが重要です。心理カウンセリングやモチベーションを維持するための支援が提供されます。
4. 病棟の特徴
設備と環境
回復期リハビリテーション病棟は、リハビリテーションに適した設備と環境を備えています。リハビリテーション室には、各種の訓練器具や機器が揃っており、患者が安全かつ効果的にリハビリを行えるよう配慮されています。
個別ケアの重視
回復期リハビリテーション病棟では、患者一人ひとりのニーズに応じた個別ケアが重視されます。患者の状態や目標に合わせて、リハビリプログラムがカスタマイズされます。
5. 回復期リハビリテーション病棟の意義
回復期リハビリテーション病棟は、急性期治療から自宅や社会復帰への橋渡しをする重要な役割を果たします。患者が可能な限り自立した生活を取り戻すための支援を提供し、再入院を防ぐための重要な機能を持っています。
まとめ
回復期リハビリテーション病棟は、患者が急性期治療後に最大限の機能回復を目指し、自立した生活を送るための重要なステップを提供する施設です。多職種連携による包括的なケア、個別化されたリハビリテーションプログラム、患者教育と家族支援、精神的サポートなど、さまざまな側面から患者を支援します。これにより、患者が可能な限り早く社会復帰し、再入院を防ぐことができます。