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在宅療養支援診療所で働こう!

作業療法士

はじめに

日本社会は急速な高齢化に直面しており、在宅療養の重要性が増しています。先日の記事にも書きましたが、これからは在宅で最期を迎える患者が増加していきます。

在宅医療を支える在宅療養支援診療所は、自宅での療養生活を支える重要な役割を担っており、地域社会に貢献するための魅力的な職場です。本稿では、在宅療養支援診療所で働くことの意義と魅力、具体的な仕事内容、必要なスキルや資格、そして実際の経験談を通じて、その価値を紹介します。

ちなみに筆者のクリニックも在宅療養支援診療所です。その目線から記述していきます。

2. 在宅療養支援診療所の役割

在宅療養支援診療所は、患者が自宅で安心して療養生活を送れるよう、医療とケアを提供する施設です。病院やクリニックとは異なり、在宅療養支援診療所の医療スタッフは患者の自宅を訪問し、以下のようなサービスを提供します。

  1. 定期的な健康チェック: バイタルサインのチェック、血液検査、薬の管理など、定期的な健康管理を行います。
  2. 急変時の対応: 365日24時間対応していますので、患者の容体が急変した際には、迅速な対応を行い、必要に応じて緊急搬送を手配します。緊急搬送の際などには、診療情報提供書の作成も医師が行います。
  3. 緩和ケア: 痛みや苦痛を和らげるための緩和ケアを提供し、患者のQOL(生活の質)を向上させます。麻薬等も院外処方で対応致します。
  4. リハビリテーション: 理学療法士や作業療法士の活躍の場もあります。セラピストが患者宅を訪問し、リハビリテーションを行います。在宅療養支援診療所でリハビリテーションを提供しているところは少ないかもしれません。
  5. 栄養管理: 管理栄養士が訪問し、患者の栄養状態を評価し、適切な食事指導を行います。こちらも多くはありませんが、今年度の診療報酬改定より重要視されています。
  6. 家族へのサポート: 患者の家族に対して、介護方法の指導や心理的サポートを提供します。本来であればMSWやPSWが活躍できる場ではあります。当方にはMSWがいますが、直接患者宅へは行っておりません。活躍の場はあると考えています。

3. 在宅療養支援診療所で働く魅力

在宅療養支援診療所で働くことには、さまざまな魅力があります。

  1. 患者中心のケア: 患者一人ひとりに寄り添い、個別のニーズに対応することができます。病院やクリニックでは難しい、患者の生活全体を考慮したケアが可能です。
  2. 地域に根ざした医療: 地域社会に密着した医療を提供することで、地域の健康維持に貢献できます。地域住民との信頼関係を築き、地元での健康支援活動に参加する機会も多いです。
  3. 多職種連携: 医師、看護師、理学療法士、作業療法士、管理栄養士、ソーシャルワーカー、医療事務、医師事務作業補助者など、多職種が連携してチーム医療を実践します。これにより、包括的なケアが提供できるだけでなく、自分自身のスキルアップにも繋がります。
    また、地域の中核病院、介護施設、訪問看護ステーション、薬局などとも連携していますので、地域医療に関わっている実感がわくと思います。
  4. 柔軟な働き方: 訪問スケジュールの調整が比較的柔軟であるため、自分のライフスタイルに合わせた働き方が可能です。常勤とは言わず、非常勤などでも始められると思います。当院には、医師であれば週1日勤務から、看護師であれば週3日勤務からと採用の幅を広くしています。また、子育て世代に優しい環境にも配慮し、時短勤務なども取り入れています。

4. 必要なスキルや資格

在宅療養支援診療所で働くためには、以下のスキルや資格が求められます。

  1. 医療資格: 医師、看護師、理学療法士、作業療法士、管理栄養士などの資格が必要です。事務であれば、医療事務検定、医師事務作業補助者なども取り入れ、それぞれの資格に応じて、患者のケアや内部業務の役割を担当します。
  2. コミュニケーション能力: 患者やその家族との信頼関係を築くために、優れたコミュニケーション能力が求められます。患者の状態や家族のニーズを的確に把握し、適切な情報提供とサポートを行います。
  3. 柔軟な対応力: 患者の状態は日々変化するため、状況に応じた柔軟な対応力が重要です。急な対応が必要な場面でも、冷静に対処できる能力が求められます。
  4. 自律性と責任感: 訪問診療では、現場での判断が求められることが多いため、自律的に行動し、責任感を持って業務にあたることが求められます。

5. 実際の経験談

在宅療養支援診療所での仕事は、多くのやりがいと学びを提供してくれます。以下は、実際に在宅療養支援診療所で働く医療従事者の経験談です。

看護師の経験談: 「在宅療養支援診療所で働き始めてから、患者さんの生活全体を支えるという視点を持つようになりました。病院勤務では見えなかった患者さんの生活背景や家族関係を理解し、個別に対応することができるのは大きなやりがいです。特に、患者さんが自宅で安心して過ごせるよう、細やかなケアを提供できることに満足感を感じています。」

理学療法士の経験談: 「在宅療養支援診療所では、患者さんの生活環境に合わせたリハビリテーションを提供することが求められます。実際に忙しいです。しかし、自宅での動作をサポートすることで、患者さんの自立度を高めることができるのは非常に意義深いです。地域の中で患者さんが生き生きと生活する姿を見ることができるのが、何よりの喜びです。」

6. 結論

在宅療養支援診療所で働くことは、地域社会に密着し、患者一人ひとりに寄り添ったケアを提供する貴重な機会です。患者中心のケア、多職種連携、柔軟な働き方など、多くの魅力があります。しかし、必要なスキルや資格、そして責任感を持って業務に取り組むことが求められます。多くのやりがいと学びを得られるこの仕事を通じて、地域社会に貢献し、医療従事者としての成長を続けることができます。

もし、あなたが医療従事者として新たな挑戦を求め、地域の健康を支える仕事に興味があるなら、在宅療養支援診療所での勤務を検討してみてください。きっと、あなたにとって充実した職業人生を送るための素晴らしいステップとなるでしょう。

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