理学療法士(PT)および作業療法士(OT)は、リハビリテーションの専門職として医療・介護分野で重要な役割を果たしています。彼らの給料は、経験年数や勤務する施設の種類によって大きく異なります。本稿では、理学療法士および作業療法士の経験年数別、勤務施設別の平均給料について詳しく解説します。
理学療法士および作業療法士の給料の概要
新卒から5年未満
新卒から5年未満の理学療法士および作業療法士の平均年収は、おおよそ300万円から400万円程度です。初任給は月額20万円から25万円程度であり、ボーナスを含めた年収となります。
- 病院:300万円〜400万円
- リハビリテーション専門施設:320万円〜420万円
- 介護施設:280万円〜380万円
- 訪問リハビリ:310万円〜410万円
5年から10年未満
経験年数が5年から10年未満になると、年収は400万円から500万円に行くか行かないか程度に上昇します。
- 病院:380万円〜450万円
- リハビリテーション専門施設:380万円〜450万円
- 介護施設:380万円〜450万円
- 訪問リハビリ:400万円〜500万円
10年から15年未満
10年から15年未満の経験を持つ場合、年収は500万円から550万円程度になりますが勤務する施設で大きく異なります。
- 病院:450万円〜500万円
- リハビリテーション専門施設:500万円〜550万円
- 介護施設:450万円〜500万円
- 訪問リハビリ:400万円〜500万円
15年以上
経験年数が15年以上になると、年収は500万円を超えるようにはなりますが、ある程度高止まりする傾向でもありますので、グンとあがるイメージではありません。年収が高い所の多くは、プロアスリートを抱えたスポーツリハビリを提供していたりします。
- 病院:500万円〜700万円
- リハビリテーション専門施設:500万円〜700万円
- 介護施設:450万円〜550万円
- 訪問リハビリ:400万円〜500万円
勤務施設別の特徴
病院
病院では、理学療法士および作業療法士の給料は比較的安定しています。総合病院や大学病院などの大規模な施設では、昇給の機会も多く、役職手当や専門資格手当が充実しています。民間の病院では年収が280万~400万前後でしたが、大学病院は年収400万を超えているところが多く、民間病院よりも大学病院の方が年収は高額といえます。
リハビリテーション専門施設
リハビリテーション専門施設では、専門的な治療を行うため、給料が高めに設定されています。特に、スポーツリハビリなど専門的な技術や知識を持つスタッフが求められるため、その分給料に反映されています。しかし、同資格者も多く、就職も困難、役職に就くか否かで収入も大きく変わります。
介護施設
介護施設では、他の施設と比較して給料が高めの傾向があります。介護保険制度の下での安定した収入が期待できますが、高給提示の多くは人手不足の施設が多めです。ボーナスや福利厚生も充実していることが多いです。
訪問リハビリ
訪問リハビリでは、患者の自宅を訪問してリハビリテーションを行います。業務の特性上、交通費や訪問手当が付与されることが多く、他の施設と比較して給料が高めになることがありますが、年齢で給料が上がっていくというよりも、訪問件数に応じたインセンティブが全てだと思います。1日に訪問できる数の限界はありますので、500万円前後で止まる可能性が高いはずです。インセンティブ次第では600万を超える場合もありますが、相当働かないと難しい数字だと思います。
地域差
給料には地域差も大きく影響します。都市部では生活費が高いため、給料も高めに設定される傾向があります。一方、地方では生活費が低いため、給料も相対的に低くなることが多いです。
キャリアパスと収入の関係
理学療法士および作業療法士は、キャリアパスによっても収入が異なります。専門資格を取得したり、管理職に就いたりすることで、給料が大幅に増加することがあります。また、教育機関での教員や研究職に就くことで、さらに高い収入を得ることも可能です。
しかし、この傾向は、病院や専門施設で多く、介護系ではあまり反映されません。
まとめ
理学療法士や作業療法士の平均年収は、厚生労働省の発表でも、35.6歳で約433万円と言われています。25~29歳の平均年収は約389万円で、30~34歳になると418万円と平均年収が29万円プラスとなります。40~45歳になると456万円で、50~54歳になると482万円となります。
施設別、男女差、勤務歴などで大きく変化すると思いますが、安定を選択するか、高給優先で転職を繰り返すかで年収は左右されると思います。