医療職の転職Q&A

医療専門職の方へ｜転職を考え始めたときに知っておきたいQ&A

看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士などの医療専門職は、日々の業務が多忙で、転職についてじっくり考える時間がなかなか取れないという方も多いのではないでしょうか。

「今の職場を続けるべきか迷っている」
「転職サイトって本当に使う意味あるの？」
「ライフステージが変わって働き方を見直したい」

このような悩みや疑問を持つ方に向けて、本記事では医療職の転職に関する“よくある質問”をQ&A形式で丁寧に解説しています。

初めての転職を考える方にも、すでに何度か転職経験のある方にも役立つ内容を網羅していますので、ぜひ参考にしてください。

Q1. 転職を考えるのはどんなときが多いのでしょうか？

A. 医療職の方が転職を考えるタイミングはさまざまですが、代表的なきっかけには以下のようなものがあります。

これらの悩みや目標に直面したときに、自分の働き方を見直すための一つの選択肢として「転職」が浮かんでくるのです。転職は「逃げ」ではなく、前向きな「選択肢の一つ」として捉えて大丈夫です。

Q2. 医療職の方に多い転職理由にはどのようなものがありますか？

A. 実際の転職理由は個々に異なりますが、傾向としては以下のようなケースがよく見られます。

• 看護師：夜勤や人手不足による身体的・精神的な負担が大きく、ワークライフバランスを重視して転職する方が多いです。ほかにも、訪問看護やクリニックなど、異なる業態で働きたいという希望もあります。

• 薬剤師：調剤薬局やドラッグストア勤務から、企業の治験・DI業務など「より専門性の高い分野へ挑戦したい」という転職が増えています。

• 理学療法士・作業療法士：回復期・維持期・訪問リハなど、自分が理想とするリハビリスタイルに合う環境を求めての転職が多い傾向にあります。

• 診療放射線技師・臨床検査技師・臨床工学技士：スキルアップ目的の転職が多い傾向にあります。給料も医療機関で全く異なるので、給料の増額という目的の転職も目立ちます。

このように、転職理由は単なる「不満の解消」だけでなく、「理想のキャリアを築くため」という前向きな動機が増えてきています。

Q3. 転職に適した時期はいつですか？

A. 一般的に、医療職の転職市場では春（4月入職）や秋（10月入職）がピークとされています。この時期は新年度や新体制に合わせた人員補充があるため、求人数が増える傾向があります。

ただし、医療業界は常に人手不足の傾向にあるため、1年を通じて求人は一定数存在します。自分の希望に合った求人が見つかったタイミングこそが、ベストな「転職の時期」と言えるでしょう。「時期」にこだわりすぎるよりも、自分の希望条件に合致しているかを重視することが大切です。

Q4. 勤続1年未満で転職するとマイナス評価されますか？

A. 確かに、採用側の視点では「早期退職」はやや慎重に見られる傾向があります。特に理由が不明確な場合、「長続きしないのでは」と懸念されることもあるため注意が必要です。しかし、短期間でも誠実な理由と目的を伝えられれば、ネガティブに受け取られることはありません。 たとえば、

• 明確なキャリアアップの目的がある

• 労働環境が約束と大きく異なっていた

• 家庭や健康上の事情でやむを得ない

などの事情がある場合は、率直かつ前向きに伝えることで、理解を得やすくなります。重要なのは、転職によって「何を実現したいのか」を明確にすることです。

 

 

Q5. 転職先を選ぶとき、どこを重視すればよいですか？

A. 転職先を選ぶ際に重視すべきポイントは、大きく以下のような観点から考えると良いでしょう。

特に医療職は「現場の人間関係」が大きな影響を与えるため、職場見学や転職エージェントからの内部情報などを参考にするべきだと考えます。

Q6. 大病院とクリニック、小規模施設のどちらが良いのでしょうか？

A. 一概にどちらが良いとは言えませんが、それぞれにメリット・デメリットがあります。

• 大病院（総合病院・大学病院など）
  　→ 教育体制や研修制度が整っており、専門性を深めたい人に向いています。チーム医療も学びやすい環境です。ただし、業務分担が明確で、柔軟な働き方にはやや不向きなことも。

• 中小病院・クリニック・訪問系など
  　→ 一人ひとりの裁量が大きく、アットホームな職場も多いです。ワークライフバランスを重視したい方や、子育て中の方には向いています。

自分の今後のキャリアプランやライフスタイルに合っているかを軸に、どちらが自分に適しているかを見極めましょう。

Q7. 公立病院と民間病院の違いは何ですか？

A. それぞれの病院には特徴があり、安定性と柔軟性のバランスを見ながら選ぶことが大切です。

• 公立病院・自治体病院
  　→ 公務員待遇で、福利厚生や安定性に優れているケースが多いです。ただし、異動・転勤の可能性があったり、業務ルールが厳格な場合もあります。

• 民間病院（医療法人など）
  　→ 経営方針が病院によって異なり、現場に自由度があるところも多いです。給与やキャリアパスも病院ごとに幅があります。成長中の法人では、ポジションや収入アップのチャンスも。

どちらにもメリットがあるため、自分が何を優先するのか（安定 or 柔軟性）を明確にしたうえで選ぶことが重要です。

Q8. 転職サイトとはどのようなサービスですか？

A. 医療系転職サイトとは、求人情報を提供するだけでなく、専任のキャリアアドバイザーが付き、転職活動を総合的にサポートしてくれるサービスです。

• 自分に合った求人の紹介

• 非公開求人の案内

• 応募書類の添削や面接対策

• 内定後の条件交渉、入職までのサポート

といった多岐にわたる支援を、完全無料で受けられるのが大きな特徴です。
働きながらの転職活動でも、プロの手を借りることで効率的かつ安心して進めることができます。

Q9. 転職エージェントを使うメリットは何ですか？

A. 転職エージェントを利用する最大のメリットは、一人で探すよりもずっと効率よく、自分に合った職場を見つけやすいことです。

これらのサポートにより、ミスマッチや後悔を減らし、納得のいく転職が実現しやすくなります。

Q10. 無料でここまでサポートしてくれるのはなぜですか？

A. 転職サイトやエージェントの利用が無料である理由は、求人を出している医療機関側が紹介料を支払っているためです。

求職者が費用を負担することは一切なく、転職に必要な支援をすべて受けることができます。
「無料だから不安…」という声もありますが、企業と求職者の“間に立つプロ”として成り立っているビジネスモデルですので、安心して利用できます。

Q11. 複数の転職サイトを同時に使っても大丈夫ですか？

A.はい、複数の転職サイトやエージェントを同時に利用することはまったく問題ありません。実際に、多くの方が2〜3社を併用しながら転職活動を行っています。

それぞれのエージェントによって、

• 扱っている求人の種類（病院系、企業系など）

• 担当者の対応スタイル（親身さ、スピード感など）

• 非公開求人の内容や数

に違いがあるため、比較しながら選ぶことで自分に合うサービスを見つけやすくなります。ただし、応募が重複しないように注意しながら進めることが大切です。信頼できる担当者に出会えたら、その人を中心に進めていくのも一つの方法です。

Q12. 転職サイトに登録すると、しつこく連絡がきたりしませんか？

A.ご心配な点かもしれませんが、最近の転職サイトでは個人の希望に配慮した連絡スタイルが主流になっています。メールやLINE、チャットなどでやりとりができるエージェントも多く、電話が苦手な方でも安心して使えるようになっています。

それでも「連絡が多すぎる」と感じた場合は、「週1回の連絡にしてほしい」「メールのみでお願いします」など、自分の希望を正直に伝えてOKです。

しっかりした会社であれば、しつこい営業はせず、要望に合わせた対応をしてくれます。もし改善が見られない場合は、他のサービスに切り替えるのも手です。

Q13. 履歴書や職務経歴書は、どう書けばいいですか？

A.履歴書や職務経歴書は、自分の経験やスキルを正確かつ魅力的に伝えるための大切なツールです。
医療職に特化したポイントとしては、以下のような内容を意識して記載しましょう。

職務経歴書に慣れていない方は、エージェントに添削を依頼するのがおすすめです。プロの目で見てもらうことで、読みやすさやアピール力がぐっと高まります。

Q14. 面接ではどのような質問がされますか？

A.医療系職種の面接では、志望動機や転職理由、業務経験に関する質問が中心となります。特に以下のような質問をする医療機関が多いのではないでしょうか？

また、医療職の場合、コミュニケーション力や協調性、状況判断力などが重視されるため、過去の具体的なエピソード（患者対応、急変時の対応、リーダー経験など）を用いて話すと説得力が増します。面接前には、求人先のホームページを確認し、理念や特徴を理解したうえで自分の考えと重ねて話せるように準備するのがおすすめです。

Q15. 面接での印象を良くするにはどうすればいいですか？

A.面接では「清潔感」と「誠実さ」が大きな評価ポイントになります。特に医療職は信頼が重視される職業ですので、第一印象が非常に大切です。

【受け答えのポイント】
相手の目を見て、明るくハキハキとした口調で話す
前職の悪口や不満は言わない（伝える場合は「改善したいポイント」として前向きに）
質問には具体的なエピソードを交えて答えると好印象

また、「質問はありますか？」という最後の問いには、施設の雰囲気や研修制度など前向きな質問を用意しておくと、熱意が伝わりやすくなります。

 

Q16. 複数の求人に同時応募しても問題ありませんか？

A.はい、問題ありません。むしろ、複数の求人を並行して検討することで、自分により合った職場を見つけやすくなります。

ただし注意点として、以下のような対応を心がけましょう。

• 応募先には誠実に伝える：選考が進んできた段階で、他社も併願していることを伝えると、信頼感につながります。

• スケジュールの管理を丁寧に行う：面接日が重ならないよう、カレンダーやリマインダーを活用しましょう。

• 内定をもらったらすぐに返事せず、比較検討の時間を確保する：一般的に内定から1週間程度は返答猶予をもらえます。

エージェントを活用すれば、応募管理やスケジュール調整も一括で対応してくれるので、忙しい方にもおすすめです。

Q17. 内定が出たらすぐ返事をしないといけませんか？

A.内定をもらったからといって、すぐにその場で決断する必要はありません。
通常は「1週間ほどの返答期限」が設けられていることが多く、じっくりと考える時間があります。

どうしても迷う場合は、エージェントに相談することで、内定先と交渉して返答期限を延ばすことも可能です。
焦って決めるよりも、納得して入職できるかどうかを大切にしましょう。

Q18. 年収や勤務条件の交渉はしても大丈夫ですか？

A.はい、年収や勤務条件の交渉はしてもまったく問題ありません。むしろ、自分の希望をきちんと伝えることで、入職後のミスマッチを防ぐことにもつながります。

ただし、伝え方には注意が必要です。
「もっと給料を上げてほしい」といった曖昧な表現ではなく、

• 「前職では○○円でしたので、それに見合う条件で働きたいと考えています」

• 「夜勤回数は月○回以内を希望しています」など、具体的かつ丁寧な言い回しを心がけましょう。

転職エージェントを通じて交渉する場合は、エージェントがあなたに代わって交渉してくれるため、直接言いづらい内容でも安心して進めることができます。

 

Q19. 退職の申し出は、いつ・どのようにするのが良いですか？

A.退職を申し出るタイミングは、就業規則で定められた期間（通常は1か月前）に従うことが原則です。ただし、医療現場は人手不足のところも多いため、余裕をもって早めに相談することが望ましいです。退職を切り出すときのポイントは以下の通りです。

また、引き継ぎや後任への配慮をきちんと行うことで、円満退職につながります。職場に迷惑をかけるのではと不安な方も多いですが、あなたの人生を大切にすることも、医療人としての責任ある選択です。

Q20. 引き止めにあった場合、どう対応すればいいですか？

A.退職を申し出ると、上司や同僚から「もう少し一緒に働いてほしい」と言われることもあります。とくに真面目で信頼されている方ほど、引き止めにあうケースが多いです。

その際は、以下のように対応しましょう。

• 感謝の気持ちをしっかり伝える：「これまで大変お世話になり、本当に感謝しています」

• 自分の意志を丁寧に、はっきりと伝える：「今後のキャリアを考えたうえで、退職を決めました」

• ブレずに一貫した姿勢を保つ：一度決断したら、気持ちが揺れないようにする

相手の好意や厚意に揺らぐ気持ちは分かりますが、自分が本当に実現したい働き方や人生設計に立ち返ることが大切です。あくまでも丁寧な姿勢を保ちながら、自分の決断を尊重しましょう。

Q21. 夜勤なしの職場に転職したいのですが、可能ですか？

A.はい、夜勤のない職場は医療・介護業界にも多数存在しており、ご自身のライフスタイルに合わせた働き方を選ぶことは十分可能です。代表的な「夜勤なし職場」には以下のようなものがあります。

夜勤がなくなることで、生活リズムの安定や、家族との時間の確保がしやすくなり、心身ともに余裕を持って働けるというメリットがあります。ただし、給与は夜勤手当がつかない分、多少減る可能性もあるため、「収入」と「働きやすさ」のバランスを見ながら判断することが大切です。

Q22. ブランクがあるのですが、復職できますか？

A.はい、医療職はブランクがあっても復職しやすい職種の一つです。
出産・育児・介護などで一時的に現場を離れていた方でも、状況に応じて働き方を選べる求人は多くあります。

最近では、復職希望者向けに以下のような支援体制を整えている施設も増えています。

「自分のスキルが通用するか不安…」という声もよく聞かれますが、医療の現場では思いやり・丁寧な対応・基礎的な知識が大切にされます。まずは、無理のない条件で復帰し、徐々に慣れていくという選択も十分にアリです。

Q23. 管理職やリーダー職に挑戦してみたいのですが不安です。

A.キャリアアップに不安を感じるのは自然なことです。ですが、管理職やリーダー職は、これまでの経験や人柄を活かしてチームを導くポジションでもあります。転職時に挑戦したいと考えているのであれば、しっかり伝えるべきです。役職採用は、スタッフ間の連携や調整、教育・後輩指導、医療安全やマネジメントの視点などが求められるため、現場マネジメント経験がある方が優先されます。

また、これから役職者を目指すという方には、リーダーシップをサポートするための講習を準備している病院も多くなっています。まずは自分に合った規模や役割のポジションから段階的に挑戦していくことで、無理なくキャリアアップを図ることが可能です。

Q24. 将来のキャリアに迷っています。どうすればいいでしょうか？

A.「今後、どんな働き方をしていきたいのか分からない」「何を軸に職場を選べばいいか分からない」こうした悩みを抱えている方は非常に多くいらっしゃいます。そんな時は、以下のような方法で自分のキャリアを見直すきっかけをつくるのがおすすめです。

転職活動は、単に職場を変えるだけでなく、自分自身を見つめ直す良いチャンスでもあります。一人で悩まず、信頼できるプロと一緒に考えることで、選択肢が広がり、将来に対して前向きな気持ちになれるはずです。

まとめ｜転職は「より良く生きるための選択肢」のひとつです

医療・福祉業界で働く皆さんにとって、転職は大きな決断です。命や生活に向き合う責任ある仕事だからこそ、「転職＝逃げ」ではなく、自分の働き方を見直し、より良いキャリアを築くための一歩と考えてよいのではないでしょうか。

本記事でご紹介したQ&Aでは、

• 転職を考えるきっかけや適切なタイミング

• 自分に合った職場の選び方

• 転職エージェントの活用方法

• 面接や書類の準備

• 条件交渉・退職手続きの進め方

• キャリアアップや再出発への不安の解消

など、多くの方が抱える疑問や不安に丁寧にお答えしました。もし、今の働き方にモヤモヤしているなら、まずは「情報収集」や「相談」から始めてみるのがおすすめです。今すぐ転職しなくても、「自分にはどんな選択肢があるのか」を知るだけで、気持ちが楽になることもあります。あなたが、無理なく、納得のいく働き方を手に入れられるよう、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。ぜひ、自分自身の未来を大切にした選択をしてくださいね。