厚生労働省が看護師養成所の入学規定を変更し、准看護師の就労期間を7年から5年に短縮する方向です。
准看護師と看護師は、全く異なる資格であり、教育に関する基本的考え⽅、教育内容や時間、求められるスキルも異なります。以外に、医療従事者であっても、これらを理解している方が少ないのが現状です。准看護師は、中学卒業以上で専門学校への扉が開かれますが、看護師は高校卒業以上と、入り口から異なる資格です。
現場としての働かせ方も大きく異なりますので、准看護師としての経験を積んだ場が異なれば、入学要件を厳格化しても経験の差は埋まらないのではないかなど、様々な論点はありました。しかし、結論的に5年への短縮で決定しております。
——- 以下、厚生労働省の資料より抜粋 ——-
◆入学前の就業経験について
・ 看護師養成所2年課程(通信制)の入学生は「働きながら学ぶことができる」ことから、通信制を選択する者が多く、40代、実務経験10年以上の者が多く、最長期の就労場所は、病院・診療所の医療機関が最も多かった。
・ 就業経験5年(5年以上7年未満)と7年(7年以上10年未満)の准看護師について、看護技術71項目すべてにおいて看護技術経験の違いに有意差は見られなかった。
・ 前回改定において、准看護師としてのこれまでの就業形態、就業場所、就業日数・時間について総合的に確認することが明示的に示され、各養成所において詳細な就業状況が確認されている。一方で「准看護師として業務に従事」とされており、業務内容については示されていない。
◆入学後の教育の質の担保について
・ 就業年限を10年から7年に見直す際に、面接授業日数の追加や専任教員定数の増員など体制強化が図られている。
・ 現行の専任養成講習会の内容においては、対面での教育を念頭においた内容である。全看護師養成所2年課程(通信制)の教員は、更なる就業経験年数を短縮する場合の対策として、「教員の教育力向上」をあげた者が最も多い。
【対応案】
○入学前の就業経験年数を7年から5年に短縮するとともに、次の2点の取組を実施してはどうか。
①看護師養成所2年課程(通信制)の教員を対象にした研修教材を全看護師養成所2年課程(通信制)に配布し教員の教育力向上を図るとともに、研修教材の作成の意図、活用方法についてセミナーを開催する。
②「看護師等養成所の運営に関する指導ガイドライン」において、「原則、病院・診療所の医療機関、訪問看護ステーションや介護保険施設等において、准看護師として5年以上看護業務に従事した」とし、業務内容も含む就業経験確認のための様式を示し、5年間の就業経験年数を確認することとしてはどうか。(記載項目:勤務先、勤務期間、月の勤務日数、1日の勤務時間、業務内容等)
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准看護師は、看護の補助的な業務を行うことができる職種であり、看護のプロフェッショナルとして活躍する前段階のポジションです。これまでの准看護師の就労期間が7年であったのに対し、新たな規定では5年に短縮されることになりました。この変更により、准看護師から看護師へのステップアップがより早くなり、看護師の供給量が若干ではありますが増える可能性はあります。
医療現場では、看護師の不足が深刻な課題となっており、特に地方や地域医療の拠点での人材確保が難しい状況です。そこで、准看護師の養成期間を短縮し、看護師の数を増やし、医療現場の人手不足を解消する狙いがあると考えられます。
7年が5年になるということで、スキルアップ、キャリアアップを目指す准看護師にとっては朗報ではないでしょうか。転職を考える准看護師にとっては、この規定変更が新たなキャリアチャンスを提供する可能性があります。准看護師としての経験を積んだ後、より早い段階で看護師への昇格が可能となり、キャリアの進展が促進されるでしょう。また、医療機関も、新たな人材をより迅速に採用し、人手不足の解消に努めることができるかもしれません。
一方で、この変更には課題も存在します。従来、対面を前提にしたスキルを看護学校の教員へ求めていましたので、通信制で且つ経験が少ない准看護師を指導する体制がどのように構築されるかは、これからの大きなかだいとなりそうです。教育機関は、こうした課題にも適切に対応する必要があります。
総じて言えることは、厚生労働省の准看護師の就労期間短縮に関する規定変更は、医療業界の転職事情に若干影響を与える可能性があります。この変更により、看護師の供給量が増え、医療現場の人手不足の緩和が期待されています。