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就業継続が可能な看護職の働き方の提案

医療情報

看護協会では、パブリックコメントを基に「就業継続が可能な看護職の働き方の提案」を出しています。ご存じだったでしょうか?

なぜ、このような提案をしなければいけないのか?

現在、就業する看護職員数は166 万人を超え、就業場所も医療施設のみならず介護分野へと大きく拡大しています。しかし、超少子高齢社会により就業若年者の増加が見込めないことが大きな要因となっています。

ご存知のように介護業界では、既に人員不足による倒産も増加しています。医療業界も他人ごとではありません。病棟閉鎖、診療縮小と様々な影響が出始めています。

医療業を継続していく為には、看護の提供を維持していかなければいけないわけであり、健康で長く働き続けられる持続可能な働き方を考える必要があります。これは、看護師だけの問題ではなく、若年労働人口が減っていく日本全体の問題でもあります。

資料は、看護協会HPにPDFがありますので、是非一読してみてください。下記は主要な部分を要約したものです。

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持続可能な働き方と職場環境の整備について提案

文書の第1部では、看護職の持続可能な働き方と職場環境の整備について提案しています。

  • 就業継続の重要性: 看護職員が長く健康に働き続けるためには、持続可能な働き方と職場環境の整備が必要です。
  • 提案の概要: 夜勤の負担軽減、時間外労働の削減、暴力・ハラスメントへの対策、仕事のコントロール感の向上、適切な評価と処遇の実現が提案されています。
  • 夜勤負担の軽減: 勤務間隔の確保、勤務拘束時間の短縮、仮眠の取得と環境整備、昼夜遷移の少ない交代制勤務の編成などが提案されています。
  • 時間外労働の削減: 時間外労働をなくすこと、可視化されていない時間外労働を把握し、所定労働時間内に業務を取り込むことが提案されています。

上記の提案は、看護職員が仕事にやりがいを感じ、組織内で長く働き続けられるようにするためのものです。また、看護職の労働環境改善に向けた周知・普及活動や管理者への支援も重要とされています。

看護職員の勤務スケジュールの改善について

文書の第2部では、看護職員の勤務スケジュールの改善について説明しています。

  • 業務整理の実施: 業務量のピーク時に人員配置を増やすためのスケジュール見直し。
  • 時間外労働の削減: 実労働時間が長くならないように、時間外労働を減らす取り組み。
  • 仮眠の確保: 勤務拘束時間が長い場合は、仮眠を取ることで疲労回復を図る。
  • 勤務パターンの例: 「日勤―日勤遅出―夜勤」の勤務パターンを導入し、長時間労働を避ける。

これらの取り組みにより、看護職員の負担を軽減し、より健康的で持続可能な勤務環境を実現することを目指しています。また、具体的な方法や詳細については、文書内の他の部分で参照されています。この文書は、看護職員の勤務条件改善に関する提案やガイドラインを提供することを目的としています。

職場でのパワーハラスメント防止対策

第3部では、2020年6月から職場でのパワーハラスメント防止対策が事業主に義務付けられたこと、および看護職が経験する暴力やハラスメントの現状について述べられています。

  • ハラスメント対策の義務化: 事業主は職員間や患者・家族からのハラスメントに対して組織的な対策を講じることが求められています。
  • 看護職の暴力・ハラスメント: 精神的な攻撃は職員間で最も多く、身体的な攻撃は患者からが最も多いと報告されています。
  • 対策の提案: 暴力やハラスメントに対する実効性のある組織的対策の推進が提案されており、具体的な取り組みが挙げられています。

提案された取り組みには、職員研修の実施、相談窓口の設置、暴力回避トレーニングの実施などが含まれています。また、職場全体の問題として原因分析を行い、再発防止に努めることが強調されています。この文書は、看護職が安全で健康的な職場環境で働けるようにするための方策を提供しています。

仕事のコントロール感と評価処遇

第4部以降は、仕事の段取りなどのコントロール感や評価処遇に関する内容となっています。

  • 仕事のコントロール感:看護職が仕事のコントロール感を持つことは、ストレス軽減やワークエンゲージメントの向上につながります。これを実現するためには、教育の実施、役割の明確化、業務量の削減などが提案されています。
  • 評価と処遇:看護職の評価と処遇は、仕事・役割・責任に見合ったものであるべきです。これには、職務遂行能力や専門性に応じた評価、公平性と納得性を担保する評価者教育、多様な働き方に対する適切な処遇などが含まれます。

まとめ

全体を読んで感じたことは、身体的、そして精神的にも健康でいなければ長続きしない。そして、看護と真摯に向き合いながらも、まわりとしては評価をしてあげなければいけない。

評価・処遇の反映となるようなラダーなどの導入も7割程度に過ぎない。ラダーを導入していても人事評価はされていない。業務内容や個々の役割、責任など、キャリアに見合った評価と賃金は頂けていない状況。

上記ようなまとめですが、今後を見据えた大規模な提案です。筆者のクリニックにもしっかり反映させて頂きたい内容だと感じました。

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