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訪問看護における不正受給の現状と対策

医療情報

現状と問題点

最近、訪問看護における不正受給が相次いで報じられています。非常に多くなってきました。特に問題視されているのは、精神科訪問看護における不正請求や過剰な訪問看護の実施です。事業者が実際には行っていない訪問を行ったと偽って診療報酬を請求するケースや、経営コンサルタントが医師に特別指示書を発行させ、訪問回数を不必要に増やして診療報酬を増やす手法が横行しています。

具体的な事例としては、患者の症状が悪化した場合に医師が発行する「特別指示書」を利用して、必要以上の訪問を行い、過剰な診療報酬を得る行為が確認されています。また、事業者が訪問回数を水増ししたり、虚偽の診療記録を作成して不正請求を行うケースもあります。これらの不正行為は、医療資源の浪費や本当に必要なケアを受けられない患者の発生につながり、医療制度の根幹を揺るがす深刻な問題です。

国が取るべき対策

このような不正を防止するためには、以下のような対策が必要です。

  1. 厳格な監査体制の強化
    診療報酬の請求に対する監査体制を強化し、事業者が不正な請求を行っていないかを定期的にチェックすることが必要です。特に、訪問看護の頻度や内容が適正であるかを確認するための専門チームを設置し、訪問看護の質や量に対する監視を強化することが重要です。
  2. 診療報酬制度の見直し
    訪問看護に対する診療報酬制度の見直しも必要です。現行の報酬制度が不正を誘発しやすい構造になっている場合、それを改めることが求められます。例えば、特別指示書の発行要件や報酬額の見直しを行い、不必要な訪問や過剰な報酬請求が発生しにくい仕組みを構築することが考えられます。
  3. 医師と訪問看護ステーションの連携強化
    医師と訪問看護ステーションが適切に連携し、患者に対するケアが本当に必要なものであるかを共有する体制の整備も重要です。特別指示書の発行に際しては、医師が患者の状態を詳細に把握し、訪問の必要性を厳格に判断することが求められます。
  4. 教育と啓発活動の推進
    訪問看護に従事する看護師や介護スタッフに対する教育や啓発活動を推進し、不正行為に関与しないための倫理観や法的な知識を提供することが重要です。これにより、不正に加担することなく、患者に対する適切なケアを提供する姿勢を強化することが期待されます。
  5. コンサルタントの監視と規制
    診療報酬を最大化するための助言を行うコンサルタントの活動に対する監視と規制も必要です。特に、不正な指導を行うコンサルタントに対しては厳しい処分を行い、業界全体のクリーン化を図ることが求められます。また、コンサルタントによる経営支援の内容を透明化し、不正を誘発しないような指導が行われているかを確認する仕組みが必要です。
  6. 通報制度の整備
    不正行為を発見した場合に、速やかに通報できる制度の整備も重要です。内部告発者を保護し、不正行為の情報を迅速に共有できる仕組みを構築することで、不正の発生を未然に防ぐことができます。また、通報制度が機能するためには、通報者に対する適切な保護措置を講じることも必要です。
  7. 患者と家族の啓発
    患者やその家族に対して、訪問看護の適正な利用についての啓発活動を行い、不正な訪問や過剰な請求を防ぐための知識を提供することも効果的です。具体的には、訪問看護のサービス内容や適正な回数についての情報を分かりやすく提供し、必要なケアを受ける権利を守るための意識向上を図ることが重要です。

結論

訪問看護における不正受給は、医療制度全体の信頼を揺るがす深刻な問題です。これに対して、国としては厳格な監査体制の強化、診療報酬制度の見直し、医師と訪問看護ステーションの連携強化、教育や啓発活動の推進など、総合的な対策を講じることが求められます。また、不正行為を防止するための通報制度や患者・家族に対する啓発活動も重要です。これらの対策を通じて、適正な訪問看護が提供され、医療資源の有効活用と患者の利益が確保される社会を目指すことが必要です。

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