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レポートを確認する ≫令和8年度診療報酬改定の全容:物価高騰・賃上げ対応と2040年を見据えた医療提供体制の変革
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1/9に行われた中医協の総会で、物価高対策に関する政府案が提出されました。令和8年度(2026年度)の診療報酬改定は、これまでの改定とは一線を画す極めて重要な転換点となります。歴史的な物価高騰、深刻化する医療現場の人手不足、そして急速な賃金上昇局面という現実に正面から向き合い、医療提供体制を維持するための抜本的な対策が講じられました。
政府の大臣折衝を経て決定された今回の改定方針は、本体改定率プラス3.09パーセントという極めて高い水準となっており、これをいかに効果的に配分し、2040年頃の将来を見据えた「治し、支える医療」へ繋げていくかが議論の核心です。本記事では、厚生労働省の資料に基づき、第Ⅰ章から第Ⅳ章までの主要な議論と具体的な評価の見直し内容について、3000文字を超えるボリュームで詳細に解説します。
Ⅰ 診療報酬改定の全体像と物価・賃金・人手不足への対応
今回の改定における最大の柱は、医療現場における生産性向上と並行した、確実な賃上げと物価高騰への対応です。改定率は令和8年度と令和9年度の2年度平均で算出されており、段階的に点数を引き上げる仕組みが導入されます。
| 項目 | 改定率(2年度平均) | 具体的な内容と目的 |
|---|---|---|
| 賃上げ分 | +1.70% | 医療従事者のベースアップ(3.2パーセント、看護補助者等は5.7パーセント)を実現するための原資。 |
| 物価対応分 | +0.76% | 光熱水費や医療材料等の高騰への対応。高度機能病院への特例対応を含む。 |
| 緊急対応分 | +0.44% | 令和6年度以降の経営環境悪化を踏まえた緊急支援。令和7年度補正予算のメリハリを維持。 |
| 食費・光熱水費分 | +0.09% | 入院時の食費(40円/食)および光熱水費(60円/日)の基準額引き上げ。 |
| 効率化分 | ▲0.15% | 後発医薬品への置き換え、在宅・訪問看護の適正化、リフィル処方の推進等。 |
| その他 | +0.25% | 医科、歯科、調剤の各科個別改定分。 |
| 合計(本体) | +3.09% | 2年度平均の改定率。令和8年度は+2.41%、令和9年度は+3.77%。 |
物価高騰への対応については、施設類型ごとに費用データに基づいた配分が行われます。病院にはプラス0.49パーセント、医科診療所にはプラス0.10パーセント、歯科診療所にはプラス0.02パーセント、保険薬局にはプラス0.01パーセントが割り振られます。
特に、高度医療機能を担う大学病院等については、医療技術の高度化に伴う高額な機器調達が必要であり、かつ価格競争が働きにくい実態があるため、プラス0.14パーセントの特例的な評価がなされます。
これらは従来の初診料や入院料とは別に、物価上昇に関する特別な項目として設定され、令和8年度から9年度にかけて段階的に点数が高まる設計となります。
一方、令和6年度以降の経営悪化に対応するための緊急対応分(プラス0.44パーセント)については、令和8年度改定時に初診料や入院料などの基本部分に含める形で評価されます。
これにより、足元の経営基盤を固めつつ、将来の物価変動にも耐えうる体制を構築します。人手不足への対応としては、ICT機器の活用による看護配置基準の柔軟化や、医師事務作業補助体制加算の基準見直し、さらには様式9の簡素化など、現場の事務負担を大幅に削減する施策が並行して進められます。
唯一、マイナス部分になる効率化分▲0.15%ですが、項目に在宅・訪問看護の適正化という見直しがあります。効率化の示す内容に今後注目が集まると思います。
Ⅱ 2040年頃を見据えた医療機関の機能分化・連携と地域包括ケアの推進
第Ⅱ章では、高齢者人口がピークを迎える2040年頃をターゲットに、医療機能を適切に分化させ、地域全体で効率的な提供体制を築くための指針が示されています。
入院医療においては、病院が実際に果たしている急性期機能の実績に着目した評価が強化されます。具体的には、救急搬送の受け入れ実績や全身麻酔手術の件数などを要件とした施設基準が新たに設けられ、急性期充実体制加算などの見直しが行われます。
特定集中治療室(ICU)やハイケアユニット(HCU)においても、重症患者の臓器不全の程度を測るSOFAスコアの要件見直しや、遠隔集中治療の推進により、質の高い管理を評価する体制へと移行します。
| 病棟区分 | 主な見直し内容 |
|---|---|
| 急性期一般病棟 | 救急搬送実績や手術なし症例の重症度評価の見直し、DPC/PDPSの精緻化。 |
| 回復期リハビリ病棟 | アウトカム評価(実績指数)の算出方法見直し、質の高いリハビリテーションの推進。 |
| 地域包括ケア病棟 | 在宅医療や施設入所者の後方支援(緊急入院受入)機能の強化、リハ・栄養・口腔管理の一体的評価。 |
| 療養病棟 | 医療の必要性が高い患者(医療区分2・3)の受入促進、経腸栄養管理の見直し。 |
外来診療においては、大病院への患者集中を防ぐため、紹介状なしで受診した際の定額負担や、逆紹介割合が低い特定機能病院等への減算規定が強化されます。
その一方で、診療所や中小病院が地域のかかりつけ医機能を果たすための評価(機能強化加算等)は見直され、専門医と共同で継続的な治療を行う連携強化診療情報提供料の評価体系も整理されます。
また、歯科においては、歯科巡回診療車を用いた人口減少地域への支援が新たに評価され、薬局においても地域支援体制加算の要件見直しを通じて、医薬品供給拠点としての機能が再定義されます。
在宅医療では、24時間の看取りや重症患者への対応を担う医療機関への評価が充実されます。特にポリファーマシー対策として、医師と薬剤師が同時に訪問し、服薬状況を調整する取り組みが新設されます。
訪問看護においても、精神科や乳幼児、難病患者など、より専門的なケアを必要とする利用者への評価が強化され、ICTを用いた診療情報の共有が促進されます。
Ⅲ 安心・安全で質の高い医療の推進と医療DXの利活用
第Ⅲ章では、医療技術の進歩に合わせた適切な評価と、医療DXによる安全性向上、そして患者のアウトカムに寄り添った評価の推進が議論されています。今回の改定では、単に技術を提供するだけでなく、その結果(アウトカム)がどうであったかを重視する傾向が強まっています。
医療安全の面では、身体的拘束の最小化に向けた取り組みが最優先課題の一つとなっています。身体的拘束を行わない体制を構築している医療機関を新たに評価する一方で、やむを得ず拘束を行った日の入院料については評価を下げるという、厳しい姿勢が打ち出されました。
また、認知症を有する患者へのアセスメントやケアの充実も、安心・安全な医療提供のために不可欠な要素として評価が見直されます。
医療DXの推進については、マイナ保険証の活用を前提とした医療情報取得加算や、医療DX推進体制整備加算の評価が見直され、より実効性のある情報連携が求められます。
特に注目されるのが電子処方箋の普及です。重複投薬や多剤併用のチェックを電子処方箋システムを通じて行うことが、オンライン診療等の算定要件として組み込まれます。これにより、患者の安全性を高めつつ、薬剤の適正使用を推進することが可能となります。
| 項目 | 見直し・新設の方向性 |
|---|---|
| ロボット支援手術 | 年間手術実績に応じた新たな評価の導入、高額機器の効率的活用の促進。 |
| オンライン診療 | 遠隔プログラミング等の新たな技術の評価、看護師同行(D to P with N)の算定方法明確化。 |
| 電子処方箋 | 重複投薬等チェックの利活用を評価。向精神薬処方時等の要件化。 |
| 歯科デジタル化 | CAD/CAMインレー、光学印象の活用促進、3次元プリント有床義歯の評価。 |
さらに、リハビリテーションにおいては、発症早期からの介入を重点的に評価する仕組みが導入されます。休日であっても平日と同様のリハビリテーションを提供できる体制を整えている場合、新たな加算が算定可能になります。
がん医療、周産期医療、精神医療といった重点分野においても、遺伝学的検査の対象拡大や、多職種配置による質の向上、さらには治療と仕事の両立支援指導料の拡充など、患者一人ひとりの生活に寄り添った評価が行われます。
Ⅳ 効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上
第Ⅳ章では、限られた財源を有効に活用し、医療保険制度を次世代へ引き継いでいくための施策が整理されています。医薬品の適正使用と、価格面での適正化が中心的な議論です。
後発医薬品(ジェネリック医薬品)およびバイオ後続品(バイオシミラー)の使用促進は、医療費適正化の柱です。今回の改定では、単に使用割合を見るだけでなく、医薬品の安定供給に資する体制を整えているかどうかを評価する新たな指標が導入されます。
バイオ後続品については、薬局での調剤体制や患者への丁寧な説明を評価する枠組みが構築されます。また、特許切れの先発品である長期収載品を患者が希望する場合、選定療養として追加の患者負担を求める仕組みが導入され、後発医薬品への置き換えがさらに加速されます。
薬剤の適正使用については、ポリファーマシー対策が強化されます。病院薬剤師が退院時や施設間で薬剤情報を連携させる取り組みを評価するほか、リフィル処方箋や長期処方の活用を促進するため、処方箋の様式見直しが行われます。
残薬対策についても、保険医療機関と保険薬局が連携して調整できる仕組みを整えます。また、費用対効果評価制度の更なる活用により、高額な医薬品や医療機器が国民皆保険制度の下で適切に提供されるよう、制度的な担保がなされます。
最後に、消費税補填に関する議論も重要です。医療機関が支払う消費税は、診療報酬に上乗せされる形で補填されています。今回の改定では、近年の費用構造の変化や初診料・再診料のシェアに基づき、無床診療所から大病院に至るまで、より実態に即した補填率(初再診料は約5.5パーセント等)が算出され、公平な評価が行われます。これにより、税制上の負担が医療機関の経営を過度に圧迫しないよう配慮されています。
まとめ:令和8年度診療報酬改定が目指すもの
管理人のお勧めする記事ですので、是非こちらもお読みください。
速報【中医協】令和8年度診療報酬改定の議論の整理(案)賃上げ・物価高・医療DXへの対応令和8年度の改定は、物価高騰や賃金上昇という経済的荒波を乗り越えつつ、2040年という未来の医療提供体制をデザインするための挑戦的な改定です。プラス3.09パーセントという改定率は、単なる支援金ではなく、医療従事者の処遇を改善し、医療DXを加速させ、そして機能を適切に分化させるための投資と言えます。医療機関は、自らの機能が地域の中でどのような役割を果たすべきか、そしてICTや他職種との協働をいかに進めるべきか、これまで以上に戦略的な舵取りが求められることになります。今回の改定が、すべての国民が安心して、質の高い、そして持続可能な医療を享受できる社会への第一歩となることが期待されます。


