2026年度(令和8年度)の診療報酬改定に向けた個別改定項目、通称「短冊」が提示されました。今回の改定で最大の焦点となっているのが、高齢者住宅等における同一建物居住者への訪問看護に対する規制強化です。
厚生労働省は、過度な頻回訪問や短時間ケアで高収益を上げるビジネスモデルを適正化するため、点数の細分化による減算強化に加え、1日定額制となる包括型訪問看護療養費の新設を打ち出しました。これにより、これまでホスピス型住宅として急成長してきたビジネスモデルは、これまでにない大きな転換期を迎えています。
さらに、特定の医師や事業者間での利益供与(キックバック)の禁止が療養担当規則に明記されるなど、運営の透明性も厳しく問われることになります。本記事では、2026年1月23日の中医協総会で示された最新資料に基づき、訪問看護と在宅医療の現場に激震を走らせている改定の全容を詳しく解説します。
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レポートを確認する ≫包括型訪問看護療養費の新設で、適正化される訪問看護
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集合住宅への訪問看護に対する評価の見直し
2026年度の診療報酬改定において、最も大きなメスが入る分野の一つが「同一建物居住者」に対する訪問看護の評価です。これまでの制度でも、マンションや有料老人ホームといった集合住宅に住む複数の利用者へ連続して訪問する場合、移動効率が良いことを理由に低い点数が設定されていました。しかし、今回の改定ではその「適正化」が一層厳格化されます。
背景にあるのは、一部の事業者による「短時間・頻回訪問」の実態です。特定の高齢者住宅に特化し、1人あたり20分程度の極めて短い訪問を1日に何度も繰り返すことで、効率的に報酬を得るビジネスモデルが問題視されてきました。厚労省の調査では、こうした事業者の利益率が20%を超えるケースも報告されており、公平性の観点から見直しが急務となっていました。
具体的な変更点は以下の通りです。
1. 同一日の算定人数に応じた細分化と減算 これまでは「同一日に3人以上」という大まかな区分でしたが、改定後は以下のように5段階へと細分化されます。
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2人
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3人以上9人以下
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10人以上19人以下
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20人以上49人以下
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50人以上 このように、同じ建物内でケアを提供する人数が増えれば増えるほど、1人あたりの点数がより低く設定される仕組みが強化されます。
2. 訪問時間の「質」に対する厳格な要件 単に人数で減算するだけでなく、ケアの質を担保するための時間規定も設けられます。
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「30分以上」を標準とする: 適切な看護を提供するため、訪問看護記録書への時間記載が必須となります。
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「20分未満」は算定不可: 20分を下回る極端に短い訪問については、基本療養費やその加算自体が一切認められなくなります。
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「2時間ルール」の適用: 前回訪問から2時間経たずに再度訪問し、それが20分以上30分未満の短時間ケアである場合は、別々の訪問ではなく「合わせて1回」として合算するルールも導入されます。
これにより、中身の薄い訪問を回数だけで稼ぐ手法が封じられ、利用者一人ひとりに向き合う「適切な時間」の確保が強く求められるようになります。
包括型訪問看護療養費の新設
今回の改定において、訪問看護の報酬体系に「パラダイムシフト」とも言える大きな変化が加わりました。それが、新設される包括型訪問看護療養費です。
これまでの訪問看護報酬は、基本的に「1回訪問するごとにいくら」という出来高払いの発想がベースでした。しかし、この新設項目は、特定の条件下において1日単位の定額払い(包括払い)を採用します。
1. 導入の狙いと対象 主なターゲットは、高齢者向け住宅(有料老人ホームやサ高住など)に併設、あるいは隣接している訪問看護ステーションです。こうした施設では、移動コストがほぼゼロであることを活かし、特定の利用者に過剰な頻度で訪問を行うケースが散見されました。今回の包括化は、こうした「回数を増やすことで収益を上げる」構造を是正し、医療費の適正化を図る狙いがあります。
2. 算定の仕組み:人数と時間のマトリックス評価 包括型訪問看護療養費は、単純な一律定額ではなく、以下の2つの要素を組み合わせて評価されます。
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建物内人数区分: 「20人未満」「20人以上50人未満」「50人以上」の3区分。人数が多いほど効率的とみなされ、1日あたりの点数は調整されます。
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看護時間区分: 実際に提供したケアの時間に応じて、「30分以上60分未満」「60分以上90分未満」「90分以上」の3段階で設定されます。
3. 求められる高い体制要件 包括払いに移行する代わりに、ステーション側にはこれまで以上に手厚いケア体制が義務付けられます。
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24時間体制の維持: 計画的な訪問だけでなく、容体急変時の随時訪問にも24時間対応できる体制が必要です。
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夜間の人員配置: 夜間(午後6時〜午前8時)に1名以上の看護職員を常駐させることが必須となります。さらに、利用者数が50人を超える場合は、50人増すごとに配置人数を増やすなど、大規模施設に対応した安全管理が求められます。
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労働環境の整備: 看護職員の負担軽減や処遇改善に向けた具体的な取り組みを行っていることも、算定の条件に含まれます。
この包括評価の導入は、単なる減算ではなく、「効率的な場所で運営するなら、その分しっかりとした24時間体制を構築し、質の高いケアを定額の範囲内で提供しなさい」という国からの強いメッセージと言えます。
健全な医療連携を阻害する「利益供与」の禁止
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特定の医師・事業者間におけるキックバックの禁止
今回の改定では、報酬点数の変更にとどまらず、医療機関と訪問看護事業者の「関係性」そのものを律するルールが強化されました。いわゆる「キックバック」や不適切な患者の囲い込みを根絶するため、療養担当規則(療担規則)に新たな禁止事項が明記されます。
1. 経済上の利益による誘引の禁止 一部の悪質なケースでは、訪問看護ステーションが利用者に対し「入居費用を割り引く」「商品券を渡す」といった経済的メリットを提示して契約を迫ったり、逆に医療機関が特定のステーションを紹介する見返りに金品を受け取ったりする実態がありました。 今回の改定では、こうした「利用者への利益提供による誘引」が明確に禁止されます。これにより、患者が自身の意思ではなく、業者側の金銭的都合でサービスを選ばされる事態を防ぎます。
2. 医師と事業者の「不適切な指示」へのメス 特に問題視されているのが、特定の医師と訪問看護ステーションが結託するケースです。
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事業者側: 特定の医師を「主治医」とするよう利用者に指示し、その見返りとして利益を得ること。
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医療機関側: 特定の訪問看護ステーションを利用させることの対価として、財産上の利益を受け取ること。 これらが療担規則において厳格に禁止されます。特定の施設に入居する際に「主治医はこの先生、訪問看護はこの会社」と強制的に決められ、そこに不透明な金銭のやり取りがある状態は、もはや許容されないという方針です。
3. 規制対象の拡大 今回の規制は、訪問看護だけでなく、介護保険サービス全般に広く網をかけています。
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指定居宅介護支援(ケアマネジャー)
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特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム等)
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認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
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介護保険施設 これらに関連する事業者や、それらと「特別な関係」にある事業者が対象となります。
この改定の背景には、現行のルールが「医療機関から薬局への誘導」に対する禁止規定のみに留まっていたという盲点がありました。高齢者住宅の急増に伴い、住宅内での医療・介護提供がブラックボックス化しやすくなっている現状を受け、国は「医療の質はあくまで中立的な判断に基づかなければならない」という原則を改めて突きつけた形です。
在宅医療の質を担保する体制要件の厳格化
代行サービス利用時の往診体制ルールを厳格化
在宅医療の現場では、医師の働き方改革や過重労働の解消が大きな課題となっています。その解決策として、夜間や休日の往診を外部の民間企業(往診代行サービスなど)に委託する医療機関が増えてきました。しかし、2026年度改定では、この「代行サービス」の利用の在り方に厳しい条件が突きつけられます。
国が問題視しているのは、日頃の診療状況を全く知らない「初対面のアルバイト医師」が、形式的な雇用契約だけで往診を行う実態です。これを放置すれば、在宅医療の質の低下を招く恐れがあるため、今回の改定では施設基準が以下のように厳格化されました。
1. 連絡体制(コールセンター等)の透明化 患者や家族が夜間に電話をした際、つながる先が医療機関のスタッフではなく外部のコールセンターである場合、「あらかじめその旨を患者側に説明し、同意を得ていること」が必須要件となります。さらに、コールセンターから連絡を受けた際には、当該医療機関が24時間いつでも対応を引き継げるバックアップ体制を確保していなければなりません。
2. 往診医の「質の担保」と事前連携の義務化 代行サービスの医師が往診を行う場合、単にその場で雇用契約を結ぶだけでは不十分とみなされます。
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事前の面談と情報共有: 往診を行う医師は、事前にその医療機関の「在宅医療を担当する常勤医師」と直接面談し、診療方針や患者の情報を共有していなければなりません。
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面談なき往診の否定: 事前面談を行っていない医師による往診は、たとえ契約があっても「施設基準を満たす往診体制」とは認められない方向です。
3. 「顔の見える関係」の重視 急変時に「誰が来るかわからない」という患者側の不安を解消するため、原則として事前に氏名を提供している医師が往診することが求められます。やむを得ない事情でそれ以外の医師が赴く場合でも、上述の「事前面談・情報共有」が済んでいることが絶対条件となります。
この改定は、代行サービスの利用を全面禁止するものではありません。しかし、外部リソースに「丸投げ」するような体制を排し、あくまで主治医グループの責任のもとで、一貫性のある医療を提供することを強く求める内容となっています。
機能強化型在支診の評価区分と名称変更
今回の改定では、在宅医療の要となる「在宅療養支援診療所(在支診)」および「在宅療養支援病院(在支病)」の評価体系が、より「実効性」を重視した形に再編されます。特に、高い実績を持つ「機能強化型」において、実際にどれだけ地域医療に貢献しているかを厳密に区分する仕組みが導入されます。
1. 連携型における「24時間往診体制」の二極化への対応 複数の医療機関が協力して24時間体制を維持する「連携型」の機能強化型在支診において、これまでは「体制を組んでいる」だけで一律の評価がなされてきました。しかし、実際には「常に自院の医師が対応可能な施設」と「実質的な対応時間が極めて短い施設」の差が激しいことが判明しました。 これを是正するため、以下の2つの区分が設けられる方針です。
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高評価区分: 日頃から訪問診療を行っている医師による「連続する24時間の往診体制」を、月に規定回数以上確保している場合。
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通常評価区分: 上記の要件を満たさない場合。 この区分により、往診料の加算や「在宅時医学総合管理料(在総管)」などの基本報酬に差がつくことになります。「看板だけでなく、実際に動いている医療機関」が正当に評価される仕組みです。
2. 「在宅医療充実体制加算」への名称変更と要件見直し これまで、末期がん患者への対応や看取りの実績を評価してきた「在宅緩和ケア充実診療所・病院加算」は、「在宅医療充実体制加算」へと名称が変更されます。 この変更には、単に「看取りの数」を競うのではなく、「地域の重症患者に対して、いかに質の高い診療を総合的に提供できているか」を評価軸にするという意図があります。名称の変更に伴い点数も見直され、施設基準には「質の高い診療を行う体制」がより具体的に求められることになります。
3. 往診時医療情報連携加算の対象拡大 2024年度に新設された、連携先以外の患者へ往診した際の「往診時医療情報連携加算」についても、対象が拡大されます。これまでは機能強化型に限られていましたが、地域全体の在宅医療を「面」で支えるため、一般の在支診・在支病(機能強化型以外)が支援を受ける場合も算定可能となる方向です。
これにより、地域の小規模なクリニックが、夜間や緊急時だけバックアップを受ける体制が作りやすくなり、地域全体の24時間対応力が底上げされることが期待されています。
BCP策定の義務化と残薬管理の徹底
2026年度改定では、在宅医療を担う医療機関の「持続可能性」と、患者の「安全性」をさらに高めるための運用ルールが追加されました。これらは事務的な作業増を伴う一方、質の高い在宅医療を継続するためには避けて通れない重要な要件となります。
1. 業務継続計画(BCP)の策定が必須に 大規模な災害や感染症の蔓延といった非常時でも、在宅患者への医療を中断させないため、在支診・在支病の施設基準に「BCP(業務継続計画)の策定および定期的な見直し」が追加されます。 「計画を作って終わり」ではなく、地域の状況に合わせてアップデートし続けることが求められます。ただし、現場の負担を考慮し、2026年3月末時点で届け出済みの医療機関については、2027年5月末まで猶予期間(経過措置)が設けられています。
2. 残薬管理の徹底による適正処方の推進 在宅時医学総合管理料(在総管)や施設入居時等医学総合管理料(施設総管)の算定要件に、「残薬の確認と処方調整」が明確に追加されます。
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具体的な内容: 患者の自宅にある薬の余り具合を家族等から聞き取り、それに基づいて処方量を調整することが義務付けられます。
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チームでの対応: 医師本人がすべてを行う必要はなく、指示を受けた看護師等が情報を収集することも認められています。 これにより、ポリファーマシー(多剤併用)の防止や、飲み残しによる医療費の無駄を削減する狙いがあります。
3. 患者割合要件の導入(月2回以上の訪問時) 在総管などの算定において、重症度の高い患者をどれだけ受け入れているかも重視されます。月2回以上の訪問診療を行う場合、対象患者の中に「末期の悪性腫瘍」や「難病」、あるいは「要介護3以上・認知症ランクIII以上」といった重症・重度者の割合が一定以上であることが要件となります。これは、管理料の算定が「比較的軽症な患者のルーチン作業」に偏るのを防ぎ、より手厚いケアを必要とする層にリソースを集中させるための措置です。
在宅療養指導管理材料加算のルール統一と新設指導料の導入
今回の改定では、現場の事務的な煩雑さを解消するための「ルールの簡素化」と、多職種連携をさらに一歩進めるための「新たな評価」が盛り込まれました。
1. 材料加算の算定ルールを「3カ月に3回」に統一 在宅医療で使われるカテーテルやインスリン注射などの材料費を算定する「在宅療養指導管理材料加算」は、これまで項目ごとに「月1回」「2カ月に2回」「3カ月に3回」とルールがバラバラでした。これが原因で、診療のタイミングを材料の算定ルールに合わせなければならないといった本末転倒な事態が起きていました。 今回の改定では、これらすべての算定要件を**「3カ月に3回」に統一**します。これにより、患者の病状に合わせた柔軟な訪問スケジュールの設定が可能になり、レセプト請求時のミスも減少することが期待されます。
2. 「退院後訪問栄養食事指導料」の新設 入院中に管理栄養士から指導を受けていても、いざ自宅に戻ると「何を食べていいかわからない」「調理が追いつかない」という事態が多発しています。これを解決するため、入院医療機関の管理栄養士が退院直後に自宅を訪問して直接指導することを評価する点数が新設されます。
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対象: 特別食が必要な患者、がん患者、嚥下(えんげ)機能が低下した患者、低栄養状態の患者など。
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期間: 退院日から1カ月以内に4回を限度として算定可能です。 病院の専門知識をそのまま在宅生活へスムーズに移行させる(シームレスな移行)ための重要な架け橋となります。
3. 「訪問診療薬剤師同時指導料」の新設 これまで医師と薬剤師の連携は、主に処方箋や報告書を通じた「非同期」なものでした。しかし、複雑な薬物療法を行っている患者の場合、その場で一緒に服薬状況を確認するのが最も効果的です。
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内容: 医師と薬剤師が同時に患者宅を訪問して指導を行った場合に算定。
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頻度: 6カ月に1回算定可能です。 医師がその場で処方の意図を伝え、薬剤師が剤形の変更(粉薬をゼリー状にする等)や服薬支援ツールの提案を即座に行うことで、より安全で確実な薬物療法が可能になります。
4. へき地診療所への特例措置 医師不足が深刻なへき地の診療所において、常勤医師がいない場合でも、派遣元の医療機関が24時間のバックアップ体制を確保していれば「在宅時医学総合管理料」などの算定が可能になります。地域の特性に応じた柔軟な運用を認めることで、居住地域に関わらず在宅医療を受けられる体制を維持します。
アスタリスクを一切使用せず、ブログの締めくくりとして「まとめ」セクションを作成しました。今回の改定が業界に与える衝撃と、今後の労働市場の変化を鋭く分析した内容にしています。
ホスピスバブルの終焉と訪問看護・訪問診療のパラダイムシフト
今回の2026年度診療報酬改定は、これまでの訪問看護・在宅医療ビジネスの在り方を根本から覆すものとなりました。最後に、今後の展望と業界に訪れる変化についてまとめます。
不正と不適切運用の代償としての適正化
今回の改定で訪問看護にこれほどまで厳しいメスが入った背景には、一部の事業者による目に余る不正や不適切な運用があります。高齢者住宅を囲い込み、本来の看護ニーズを無視して報酬を得ることだけを目的とした短時間・頻回訪問を繰り返す手法が、制度全体の持続可能性を脅かしていると判断されました。
結果として、国は包括評価の導入やキックバックの禁止という強硬策を講じることとなりました。一部の事業者が犯した過ちにより、訪問看護業界全体が非常に厳しい適正化の波にさらされることになったと言わざるを得ません。
効率化の強制と過度な利益の消失
今後、訪問看護や訪問診療は、法の下でこれまで以上に厳格な効率化を強いられます。同一建物内での算定人数に応じた大幅な減算や、1日定額制の導入により、かつてのような高い営業利益率や過度な収入を期待することは極めて困難になります。
今後は単に回数を稼ぐモデルではなく、限られた定額報酬の中でいかに質の高いケアを効率的に提供できるかという、真の運営能力が問われる時代に突入します。ビジネス優先で参入してきた事業者にとっては、極めて厳しい冬の時代が到来したといえます。
ホスピス事業からの撤退と看護師の流動化
こちらの記事も、あわせて読むことでより理解が深まります。
夜勤専従看護師VS日勤フル看護師、10年後の生涯賃金シミュレーションを知るもっとも懸念されるのは、収益性が悪化したホスピス事業からの企業の相次ぐ撤退です。高収益を前提に設計されていた施設運営が立ち行かなくなることで、事業の縮小や閉鎖が現実味を帯びてきます。
これに伴い、これまでホスピス型住宅で高待遇を受けていた看護師たちが一斉に労働市場へ放出される事態も予測されます。しかし、これは必ずしもマイナスなことばかりではありません。特定の施設に囲い込まれていた優秀な看護師が市場に出ることで、慢性的な人手不足に悩む一般の訪問看護ステーションや地域の医療機関にとっては、人材確保のチャンスとなる可能性もあります。
これからの看護師や医療従事者は、運営母体の経営健全性や、制度改定に左右されない真の看護実践力を備えているかどうかを見極め、自身のキャリアを選択していく必要があるでしょう。


