在宅について(その1) 令和7年8月27日 中央社会保険医療協議会 総会(第615回) 議事次第より抜粋

在宅について(その1) 在宅医療
記事内に広告が含まれています。
REPORT

【現役理事 厳選】2026年を乗り切るための職種別推奨リスト

採用側の視点で「本当に信頼できる相談窓口」をまとめました。記事を読む前にチェックすることをお勧めします。

レポートを確認する ≫

在宅医療を取り巻く状況:人口動態の変化と制度の方向性

CHECK 医療従事者|給料診断ツール

今の年収は適正?1分であなたの市場価値を診断できます。

令和7年8月27日に行われた中央社会保険医療協議会 総会の議事から在宅について(その1)の主要な部分を抜き取りました。詳細は、「中央社会保険医療協議会 総会(第615回) 議事次第」で確認できます。訪問診療や訪問看護に関わる方は、一読ください。

 

日本の医療システムは、現在進行中の劇的な人口構造の変化に対応するため、大きな変革を迫られています。超高齢社会の到来は、医療提供のあり方を根本から見直し、病院中心の医療から地域完結型の在宅医療へと、その重心を移すことを不可逆な流れとして確立させました。このセクションでは、在宅医療を取り巻く現状と、それを支えるための国の制度的取り組みについて、具体的なデータや最新の報告書の内容を交えて詳細に論じます。

1. 人口動態の変化が示す在宅医療の需要増

PDF資料が示すように、日本の総人口は減少局面にあり、2070年には9,000万人を下回ると推計されています。一方で、高齢化率は38%台に達し、特に85歳以上の後期高齢者人口は今後爆発的に増加すると予測されています。この層は、複数の慢性疾患や介護ニーズを抱えることが多く、在宅での療養を希望する割合も高まっています。実際、資料のグラフは、85歳以上の在宅医療需要が2020年から2040年にかけて62%も増加するという、その切迫した状況を明確に示しています。この膨大な需要の増加に対応できなければ、多くの人々が住み慣れた場所で最期まで安心して暮らすという願いが叶わなくなってしまいます。

また、高齢者の世帯構造も変化しており、一人暮らしや高齢者のみの世帯が増加しています。これにより、在宅療養を支える家族の介護力は低下し、医療従事者だけでなく、介護、福祉といった多職種の連携が不可欠となっています。在宅医療は、単に病気を診るだけでなく、患者さんの生活そのものを支える包括的なケアへと進化しなければならないのです。

2. 死亡場所の変化と「自宅での看取り」の広がり

かつて、日本人の死亡場所は病院が圧倒的多数を占めていました。しかし、近年ではその割合が減少し、自宅や介護施設で亡くなる方が増加傾向にあります。これは、「住み慣れた場所で最期を迎えたい」という国民の意向を反映した結果であり、在宅医療の普及がこの変化を後押ししています。この傾向は、在宅医療が単なる延命治療ではなく、人生の最終段階を豊かにするための重要な選択肢として認識されつつあることを示しています。
この変化を支えるのが、緊急時の対応や多職種連携を担う在宅療養支援診療所(在支診)や在宅療養支援病院(在支病)です。これらの医療機関は、地域の在宅医療の中核として機能し、24時間体制で患者さんやご家族を支えています。

3. 「かかりつけ医機能」が支える在宅医療の未来

在宅医療の質を確保し、地域全体で持続可能な医療を提供するため、国は「かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会」を設置し、その報告書において具体的な方策を示しました。この報告書は、2025年4月から施行される「かかりつけ医機能報告制度」の骨子を定めたものであり、在宅医療の今後の方向性を決定づける重要な内容を含んでいます。

この制度は、各医療機関が自身の「かかりつけ医機能」を都道府県に報告し、その内容が公表される仕組みです。報告が求められる機能には、日常的な診療に加え、在宅医療の提供、介護サービスとの連携、そして入退院時の支援などが含まれており、在宅医療が「かかりつけ医」の重要な役割として位置づけられていることがわかります。これにより、患者さんは自身のニーズに合った「かかりつけ医」を選択できるようになり、地域全体の医療の質が向上することが期待されています。

しかし、報告書は同時に、在宅医療を担う医師や看護師の労働負担や、多職種間の情報共有の非効率性といった課題も指摘しています。これらの課題を解決するためには、在宅医療に携わる医療従事者の増員や、ICTを活用した情報共有システムの構築が不可欠となります。また、在宅で療養する高齢者に多い栄養障害や摂食・嚥下障害への対応も、今後の重要な課題として挙げられています。PDF資料も、訪問栄養食事指導の算定回数が他のサービスに比べて少ない現状を指摘しており、2024年度の同時改定で体制整備が要件化されたものの、今後の定着が課題となります。

在宅医療は、単一の医療機関や専門職の努力だけでは成り立ちません。かかりつけ医を核として、多職種が密に連携し、地域全体で患者さんを支える体制を築くことが、超高齢社会における日本の医療を支える鍵となるのです。

訪問診療・往診等について

理事・採用担当者からの助言

もし今の職場で「正当に評価されていない」と感じるなら、それはあなたのスキル不足ではなく、単に「今の環境があなたに合っていない」だけかもしれません。採用の現場にいる私から見ても、一歩外を見るだけで条件が劇的に改善するケースを数多く見てきました。

在宅について(その1) 令和7年8月27日 中央社会保険医療協議会 総会(第615回) 議事次第より抜粋 探す!自分に合った職場

※登録は無料で、今の職場に知られることはありません

在宅医療の中核をなすのが、医師が患者の自宅を計画的に且つ定期的に訪問して診療を行う「訪問診療」と、患者の求めに応じて緊急的に訪問する「往診」です。これらのサービスは、患者さんが住み慣れた場所で、安心して療養生活を継続するために不可欠なものです。

訪問診療・往診の現状と課題

PDF資料によれば、在宅医療を提供する医療機関の数は、近年横ばい傾向でしたが、2022年には増加に転じています。これは、国の政策的な後押しや、在宅医療へのニーズの高まりを反映していると考えられます。しかし、この増加は、在宅医療の需要全体の増加に追いついているとは言えません。

特に課題となるのが、訪問診療と往診の組み合わせです。訪問診療は計画的・定期的な診療である一方、往診は患者の急変時に対応する緊急的な診療であり、医師や看護師の24時間体制が求められます。この24時間体制の維持は、在宅医療に携わる医療従事者にとって大きな負担となっています。PDF資料の別の調査でも、「24時間の往診体制をとること」「24時間連絡を受けること」が、在宅医療を実施する上で特に大変なこととして挙げられています。医師自身の体力的な問題も、在宅医療からの撤退を考える要因となっています。

1 在宅療養支援診療所(在支診)の役割と機能

この負担を軽減し、質の高い在宅医療を確保するために、国は「在宅療養支援診療所(在支診)」や「在宅療養支援病院(在支病)」の整備を推進してきました。これらの医療機関は、緊急時の往診や入院受け入れが可能な体制を整えていることを要件として、診療報酬上の優遇措置を受けています。

資料のグラフを基に分析すると、在宅療養支援病院や在宅療養支援診療所のうち、特に「機能強化型」として届け出ている医療機関は、看取りの実績が多く、また多職種との連携体制もより充実している傾向が見られます。これは、在宅医療の質と効率を高める上で、これらの機能強化型医療機関が重要な役割を果たしていることを示しています。

しかし、これらの医療機関の数がまだ十分でない地域も多く、地域ごとの医療格差が大きな課題となっています。特に、地方や過疎地域では、在宅医療を担う医療機関が不足しており、患者さんが適切なケアを受けられない「医療過疎」の状態に陥るリスクがあります。

2 多職種連携における情報共有とテクノロジーの活用

訪問診療と往診を円滑に行うためには、医療従事者だけでなく、ケアマネジャーや訪問看護師、ヘルパーといった多職種間の連携が不可欠です。しかし、それぞれの職種が異なる記録システムや情報共有ツールを使用しているため、情報の伝達に遅延やミスが生じやすいという問題があります。

この課題を解決するためには、ICT(情報通信技術)の積極的な活用が求められます。多職種が共通して利用できる情報共有プラットフォームや、オンライン診療システムを導入することで、リアルタイムで患者さんの情報を共有し、より迅速で適切な対応が可能になります。例えば、在宅で療養する患者さんの血圧や心拍数といったバイタルデータを遠隔でモニタリングし、異常があればすぐに往診を行うといった体制も、テクノロジーの活用によって実現可能となります。

訪問診療・往診は、単なる医療行為を超えて、患者さんが自宅で安心して生活を送るための基盤を築く重要な役割を担っています。医療従事者の負担軽減と、多職種間の円滑な連携を図るための制度的・技術的な支援が、今後の在宅医療の発展に不可欠となるでしょう。

訪問看護について

在宅医療の現場で、医師の訪問診療と並んで不可欠な存在が訪問看護です。訪問看護師は、単に医療処置を行うだけでなく、患者さんの生活に深く関わり、その人らしい暮らしを支えるという点で、非常に重要な役割を担っています。

役割と需要の拡大

訪問看護の需要は年々高まっています。その背景には、医療技術の進歩により、退院後も自宅で点滴管理、経管栄養、褥瘡(じょくそう)処置、在宅酸素療法といった医療的ケアを継続する必要がある患者さんが増えていることがあります。訪問看護師は、これらの専門的な処置を自宅で提供することで、患者さんの療養生活の質(QOL)向上に大きく貢献しています。

さらに、訪問看護師は患者さんの日々の状態を細かく観察し、バイタルサインや食欲、睡眠状況などの変化を記録します。これにより、病状の悪化を早期に発見し、医師に報告することで、急な入院や重症化を防ぐ役割を果たしています。特に、がんの終末期や難病の患者さんの看取りにおいては、患者さんの苦痛を和らげ、ご家族の精神的な不安を軽減する上で、訪問看護師の専門性と温かいサポートが欠かせません。

訪問看護が抱える具体的な問題と解決策

在宅医療の需要が拡大する一方で、訪問看護の現場は多くの課題に直面しています。

1. 人材不足と労働環境

最も深刻な問題は、訪問看護師の慢性的な不足です。在宅という予測不能な環境で高度な医療処置を行うには、熟練した技術と臨機応変な判断力が求められます。しかし、24時間オンコール体制や夜間・休日の訪問など、その労働負担は非常に大きく、特に地方では人材の確保が難しく、サービスの提供が困難な状況に陥っています。

  • 問題の定義: 訪問看護の需要は増加しているにもかかわらず、労働環境の過酷さや給与水準の低さから、訪問看護師の数が需要に追いついていない。
  • 具体的な解決策:
    • チーム制の導入: 複数の訪問看護ステーションが連携し、夜間・休日のオンコール体制を共同で担う「グループ制」を導入することで、個々の看護師の負担を軽減する。
    • テクノロジーの活用: 訪問記録をタブレット端末で行う電子カルテシステムや、オンラインで患者さんの情報を共有できるプラットフォームを導入し、業務効率化を図る。
2. 医療と介護の連携における情報共有

訪問看護は、医療保険と介護保険の両方の制度を利用するサービスであり、医師やケアマネジャー、ヘルパーなど、様々な職種との連携が不可欠です。しかし、それぞれの職種が異なる記録システムや情報共有ツールを使用しているため、情報の伝達に遅延やミスが生じやすいという問題があります。

  • 問題の定義: 多職種間の情報が分断されており、タイムリーな情報共有が困難であるため、患者さんの状態変化に迅速に対応できないリスクがある。
  • 具体的な解決策:
    • 共通プラットフォームの導入: 地域内の全ての医療・介護関係者がアクセスできる共通の情報共有プラットフォームを構築し、リアルタイムでの情報共有を可能にする。例えば、チャット機能を使って緊急性の高い情報を素早く共有する、写真や動画で患者さんの状態を伝えるといった取り組みが有効です。
3. 診療報酬・介護報酬制度の課題

在宅医療の専門性や労働負担を考慮すると、現在の診療報酬や介護報酬が十分に評価しているとは言えないとの指摘もあります。このため、訪問看護ステーションの経営が厳しく、事業の継続を断念せざるを得ないケースも見られます。

  • 問題の定義: 報酬体系が労働負担や専門性を十分に評価していないため、訪問看護ステーションの安定した経営が困難であり、サービス提供体制の維持が危うくなっている。
  • 具体的な解決策:
    • 報酬体系の見直し: 在宅医療の重要性を踏まえ、訪問看護師の専門性や24時間体制を評価する報酬体系を確立することで、事業の安定化を図る。
    • 多様なサービス展開への評価: ターミナルケア(終末期医療)や重度患者へのケアなど、専門性の高いサービスに対する加算を設けることで、質の高い訪問看護を促進する。

訪問看護は、単なる医療サービスではなく、患者さんの「生きる」を支える重要な柱です。これらの課題を克服し、訪問看護師が安心して働ける環境を整備することが、超高齢社会における日本の医療を支える鍵となるでしょう。